AT-X M35 PRO DXは、APS-Cサイズ相当のイメージセンサーを搭載したニコンのデジタル一眼レフカメラに装着すると、35mmフィルム判換算で53.5mmに相当する、いわゆる“標準”単焦点マクロレンズだ。製品名末尾の“DX”が示すとおり、フルサイズやAPS-Hフォーマットのデジタル一眼レフカメラには使用できない。
被写体から撮像素子面までの最短撮影距離は14cm。レンズ前からでは14.3mmという近距離まで接近でき、フィルムカメラでいう“等倍撮影”も可能なことから、マクロレンズとしてのスペックは十分だと言えよう。
さらに、ピントの微調整が必要なマクロ撮影のこともよく考えられていて、ピントリングを前後にスライドすることで、AFとMFをすぐに切り替えることができる「ワンタッチフォーカスクラッチ」を内蔵している。さらにピントリングをまわすときの重さも適度なもので、MFでもたいへんに使いやすい。この構造からきたのだろう、独特の“頭でっかち”なデザインが機能美をかもし出している。
装着時の実質画角が標準レンズに近いため、接写にかぎらず普段の撮影に生かすこともできる。絞り開放F値が2.8と明るいため、暗いシーンや浅い被写界深度を活用しボケを生かした撮影もこなせるのだ。
それよりなにより、ズームレンズに比べるとコンパクトで、なおかつ全体の重量も軽いおかげで、スナップ撮影に持って歩くのにちょうどいい。とくに、ニコンなら今回試写をしたD300、キヤノンならEOS 40Dあたりと組み合わせると、ホールディングしたときの重要バランスもピッタリだろう。
マクロレンズを遠景で使うと描写性能が落ちると言われることがあるが、このレンズではそんなことはなく、遠景から接写までシャープに描写し、開放で使った時の背景のボケ方も嫌味がない。さらに逆光でも描写力の低下は最小限に抑えられているという印象だ。トキナーも新開発の光学系と、多層膜コーティングの重要性をアピールしている。
ズームレンズは万能で便利なアイテムなので、それはそれで活用したいところだが、さらにこういった単焦点あるいはマクロレンズを1本加えることで、撮影する写真の幅が広がるだろう。もちろん、腕前も。
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