|
プリンターキャリブレーションの重要性
パソコンのモニターで見ている画像と、プリンターで出力した写真の色調や明るさが異なって困った経験はないだろうか。いくらモニターをSpyder3 Elite などでキャリブレーションして正確な画像確認ができるようになっても、最終出力物のプリントにそれが反映されなくては、お気に入りの作品の完成とは言えない。
モニター上の画像とプリントが異なってしまう大きな理由のひとつが、プリンタードライバーによる自動補正 (色調補正) だ。集合写真のような記念写真なら便利な機能なのだが、作品としてのプリントは、モニターを見ながらベストに編集した画像と同じようにプリントしたいものだ。プリンターが「良かれ」と思った補正が「余計なお世話」になってしまうことがある例だ。
では、単純に自動補正をオフにしたらどうだろうか。この場合、補正しないだけであって、やはりモニター画像の色調に忠実なプリントを得ることは不可能だ。そういった難問を解決してくれるのが、モニターとプリンタープロファイルだ。モニターと同じように自分のプリンターのカラープロファイルを作っておけば、カラーマネジメント対応の (Phoshopなどの) ソフトウェアから出力する際にそのプロファイルを指定することで、モニター画像とカラーマッチングがとれたプリントが得られるのだ。
このプリンタープロファイル作成ツールとして有名なのが、モニターキャリブレーションシステム Spyder3 Elite でおなじみ Datacolor 社(日本ではソリューションシステムズが販売する)の Spyder3 Print だ。
プルーフィング前の準備は念入りに
プリンタープロファイルの作成は (プリンターが複数台ある場合は)、まず作品づくりに使うプリンターを決め、その 「印刷品質チェック」 のためにカラーパターン印刷を行う。印刷物を見て、色のかすれや色むらがなければプロファイル作成作業に移る。もし、印刷がかすれていたら、ノズルをクリーニングし、再度カラーパターンを印刷してチェックする。満足の行くまでこれを繰り返す。
次は、「メディア設定チェック」 だ。これは、用紙種類の設定と実際に使用する用紙を合わせるための作業で、やはりチェック用画面を印刷し、カラーパターン部分で階調再現を確認する。また、人物が印刷されたフォトコンテンツ部分を見て、肌色やハイライト、シャドー部の再現を確認する。A4サイズの用紙に4分割印刷できるので、1枚の用紙にさまざまなドライバー設定を試し、なかから最適な設定を選んでもいい。
ここまでできたら、測定のもととなる「ターゲット」 の印刷だ。カラーパッチ数は150色〜238色まで5種類選べるが、標準は[高速ターゲット](=150パッチ) だ。ターゲットプリントを印刷したら、プリントの色調が安定するまでしっかり乾燥させる。Datacolor によると、顔料インクで最低1時間、染料インクなら最低3時間は乾燥させた方がいいそうだ。
プリンターの自動補正を OFF に
いよいよターゲットを読み込む。Spyder3 Print には、1005 Spectroセンサーが同梱している。まずは Spectro センサー自体のキャリブレーションを行い、それからターゲットの読み込みをはじめる。読み込みが終わったら、プロファイルが作成される。これに好きな名前を付けて保存すれば完了だ。
ところで、プリントの色などの見え方は環境光、たとえば部屋の明かりによって左右される。そこで「プロファイル設定の作成画面」に現れる[PreciseLight 明るさスライダー]で環境光に合わせた明るさを、[PreciseLight 色温度スライダー]で環境光に合わせた色温度の調整が行えるようになっている。また[絶対グレー]チェックボックスのチェックを外すと、[用紙相対グレーモード]になり、グレーに用紙のトーンが加味される。自然なグレー再現やシャドー部のトーン再現に有効なので試してみるいい。
ここまでの作業で注意しておかなければならないのが、プリンタードライバーの自動補正を必ず“オフ”にしておくこと。自動補正が“オン”なっているとプロファイルは正確さを欠いてしまう。また、作成・保存したプロファイルと異なる用紙を使って印刷する場合は、新しい用紙に合わせてプロファイルも新たに作る必要がある。
プロファイルを選択できるソフトで出力
作成したプリンタープロファイルは、そのままではプリントに反映されない。プロファイルを活かした印刷には Adobe Photoshop のようなカラーマネジメント対応の画像ソフトを利用する。Photoshop を例にすると、メニューの[ファイル]のなかになる[プリントプレビュー]でプリント画面を表示し、[オプション]の[カラー処理]を[Photoshopによるカラー処理]にし、[プリンタープロファイル]は、Speyder3 Print で作成・保存したプロファイルを選択。[マッチング方式]は[彩度]を選ぶ。これでOK、あとはプリントするだけだ。もちろん自動補正や色調補正などはオフ。これでモニター画像とマッチングのとれた明るさ、色調のプリントができあがる。さらにプロファイルを微妙にコントロールしたいなら、手動によるプロファイル補正も行えるようになっている。
モニタープロファイルの作成と比べると、プリンタープロファイルの作成は、やや行程が煩雑に感じられるかもしれない。それでも、気に入ったプリントが作れずに用紙やインクを消費し、何度もやり直す時間を考えたら、プリンタープロファイルを作成して印刷に臨んだ方が速く正確な作品が得られることは間違いない。
|