AF DX フィッシュアイニッコール ED 10.5mm F2.8G は、ニコンDXフォーマット (APS-Cサイズフォーマット) 専用の180度対角線魚眼レンズという、NIKKOR レンズのラインアップのなかでも異色の存在だ。35mm判換算で約16mm相当の画角である。平成21年5月に10-24mm (35mm判換算約15〜36mm相当) の超広角ズームレンズが発売されたが、対角線魚眼による独特の映像はこのレンズだけのもの。
ところで、試写に選んだD90 には、13種類あるカメラ内画像編集機能のなかに 「魚眼効果」 というものがあり、撮影後に疑似的に魚眼レンズで撮ったような歪みの効果を与えることもできるのだが、魚眼効果を大きくしようとするほど画像の周辺部が切り取られるという制限もある。
やはりオリジナル作品はこうした後処理ではなく、撮影時に光学的効果でしっかりと作りたいものだ。魚眼レンズ特有のデフォルメ効果を存分に活用して、オリジナリティあふれる作品を生み出したい。
使用上で注意したいのは、約16mm相当 (35mm判換算) とは言っても、180度もある対角線画角は思った以上に広いということ。ファインダー内や背面液晶モニターのライブビュー画面で四隅をしっかり眺め、よけいなものが写り込んでいないか、しっかり確認しよう。案外、自分の手や足が写り込んだりしているものだ。
描写性能は、キレ、シャープさともに非常に満足できるレベルだ。画面周辺部の光量落ちや流れなども見られず、安心して作品づくりに集中できる魅力的なレンズである。また、レンズ先端からなんと 3cm まで被写体に寄れるというのも心強い。マクロレンズとは違った、独特の雰囲気の近接撮影もとても楽しいものだ。
対角線魚眼レンズというのは、けして使用頻度の高いレンズだとは思わないが、この10.5mm F2.8G はコンパクトだし軽い。カメラバックに余裕があればぜひとも忍ばせておきたい。被写体に刺激を感じなかったり構図に迷ったりしたときに取り出すと、新しい作風のヒントになったり、思わぬ傑作が撮れることがあるだろう。
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