マイクロフォーサーズ規格のメリットを最大限に生かし、レンズ交換を可能にしながらもスリムでコンパクトなボディ。ミラーレスだからレンズを外すとセンサーがむき出しになるが、ほぼ完璧と言えるダストリダクションシステムSSWF (スーパーソニックウェーブフィルター=超音波防塵フィルター) があるからこそ実現したボディ構造と言える。
約45年前に発売されたレンズ交換可能な 「ペンF」 シリーズを彷彿させるデザインに懐かしさを感じる人も多いだろう。ボディサイズも当時とほぼ同じ。パンケーキレンズ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 とのセットは “一眼" というより “ハイエンドコンパクト" の雰囲気さえ漂う。金属の質感を前面に出したシルバーの他に、ペイントのホワイトも用意され、ファッション性も意識している。
操作系には、各種設定方法がいろいろ用意されていたが、ほとんど設定変更をしない項目が表に出ていたり、設定したい項目にたどり着くまでのステップ数が多かったりと使いにくい部分もあった。ただ、撮影時に必要な設定のみを画面右側に、選択項目を画面下に帯状に表示する 「ライブコントロール」 と呼ぶ新しいGUI (グラフィック ユーザー インターフェイス) はわかりやすく、画面の切り替えなくサブダイヤルでスピーディーに設定できるのは使いやすかった。
いっぽう、画像処理エンジンが新開発の 「TruePic V」 へ進化したことで、ISO6400 の高ISO感度撮影や、オリンパスでは初となる720pのHD記録による動画撮影が可能になった。
ISO6400 という高ISO感度は、ほとんど光のない状況でも撮影を可能にし、デジタルならではの新たな表現を提供する。月の光さえあれば、被写体はもちろん空さえ明るく写ってしまう。カメラがまだ試作段階で最終的なクオリティは出せていなかったようだが、せっかくの ISO6400 なのだから、もう少しノイズが少なくなってくれることを願う。
HD動画の撮影はオリンパス初となるが、絞り優先AEやマニュアル露出はもちろん、動画撮影中のAF、シングルAFからMFへの切り替えでピント位置をズラしたりと、静止画を撮影するときとほぼ同じ機能が使える (ボディ内手ぶれ補正は使えず、代わりに電子手ぶれ補正が働く。顔検出は使用不可) 。完成度は高いと言えよう。
焦点距離の長いレンズなどで得られる大きなボケのある映像は、一般のビデオカメラでは不可能なため、これだけでも価値のあるもの。また、アートフィルターをかけたままの動画撮影も可能になった。処理しながらの撮影となるためフィルターの種類によってコンティニュアスAFの動作が制限されたりすることもあるらしいが、オリンパス独自でとてもユニーク。遊び心のある動画撮影が楽しめる。
一見してわかるように液晶ビューファインダー (EVF) がなく、背面の液晶モニターを見ながらのライブビューが撮影の基本スタイルとなる (オプションに外付け光学ビューファインダーはある) 。モニターサイズは3.0型と大型で、上下左右の視野角も問題ないが、約23万ドットの解像度は、被写界深度が浅い条件でシビアなピントが求められる場面ではちょっと役不足。ほかに選択肢がないだけに、92万ドットくらいの高精細と輝度の自動調整機能が搭載されればもっと使いやすくなるだろう。
AFは、センサー上のコントラスト値を検出するハイスピードイメージャAFのみとなるが、スピードも精度もこれまでの位相差検出式一眼レフと遜色なく、使っている限り不満に感じることはなかった。
撮影モードはシーン判別を行い 6種類の設定から自動選択する [i AUTO
] のほか、クリエイティブモードの[P][A][S][M]、[ART](アートフィルター) 、[SCN](シーンモード)、そして動画が用意されている。
シーンセレクトは全部で18種類。被写体や条件に合わせて選択すれば、絞り値やシャッタースピードはもちろん、仕上がり具合など細かな設定すべてを最適に合わせてくれる。
今回新たに追加された 「e ポートレート」 では、顔検出機能以外に、検出した顔の肌部分がきれいに見えるよう画像処理を行う。この処理は撮影後にカメラ内で行われるため、アートフィルターで撮影したときと同じように若干の時間を要するが、通常の画像と比べるとその違いは一目瞭然。人物の肌が滑らかで透明感のある見ために仕上がる。ほかのシーンモードも仕上がり具合に工夫が凝らされているためどんどん活用しよう。
(並木 隆)