D3000 は、D40 の後継機でエントリークラスに位置付けされる。撮像素子はD60 と同じDXフォーマット (APS-Cサイズ相当) の有効1,020万画素CCDを搭載している。ボディのパッケージングは、エントリークラスということもあり小型軽量で機能もシンプルにまとめられている。外観はD5000 のように曲線を使った少しグラマラスなデザインであるが、手にしたときのフィット感はとても良く、カメラをしっかり持つことができる。液晶モニターにD5000 のバリアングル式ではなく従来の固定式を採用しているため、ボディサイズはD5000 よりも小さく軽い。液晶モニターは、3型 (約23万ドット) を採用しており、D40 (2.5型・約23万ドット) やD5000 (2.7型・約23ドット) よりも大型。パネルの色味はほぼニュートラルに近く、D5000 よりも見やすい。
このD3000 にも、ニコンの包括的画像処理システム 「EXPEED」 が搭載されており、ニコンのデジタル一眼レフカメラのラインアップが完成したことになる。あわせて基本性能も向上させており、上位機種の機能を惜しげもなく採用している。とくにフォーカスエリアは 3点から 11点になり、3D-トラッキングも使えるなど、AF性能はこれまでのエントリー機種から格段に進化している。
D3000 でとくに注目すべき画期的な機能は 「ガイドモード」 である。これは、カメラの使い方をカメラが導いてくれるというもので、液晶モニターに表示されるガイドメニューに従うだけの簡単な操作だ。初心者にとって、高いハードルとなっていたカメラの設定もミスすることなく、カメラの指示どおりに設定すればよいのである。
たとえば下の作例のように、ガイドモードの[風景や街並みを撮る]に設定して撮影するとシーンモードの[風景]が選ばれていても各パラメータはオートに設定される。撮影シーンを元にカメラ内で演算処理をしているため、自分でパラメータを設定したとしても同じ画像を作ることはできない。これはニコン独自のスペシャルチューンなのである。
また、画像編集機能では、新たにミニチュア効果のある写真を作ることができるようになった。これは、アオリ機能を持つPCレンズを使った撮影と同じで、画面の一部をシャープに見せて他の部分をボカすことにより、ミニチュア (=模型) やジオラマ (=縮尺模型) を撮影したような視覚効果を演出できるもの。このように、新型D3000 は、デジタル一眼初心者でも 「撮る」 、「編集する」 、「見せる」 を簡単に楽しく使いこなせるカメラなのである。
実際に撮影をしてみると、D40 やD60 のようにミラーショックの小さなシャッターは踏襲されており、レンズキットの 「VR」 レンズを使うことで手ブレを抑える効果も大きい。グリップは、ニコン特有の指掛かりの良さもあり、手の小さい人でもしっかりホールドできる。
ファインダーについては、エントリークラスのカメラでもあるため、あまり多くを望むことはできないが、D3000 では格子線を表示させることができるようになり、水平や垂直を出す風景の撮影に役立ってくれる。フォーカスポイントは、D5000 と同じ11点になり、目的の所にフォーカスを合わせやすくなった。また、D3000 も 「3D-トラッキング」 を搭載しており、動体の撮影における機能強化を図っている。操作性という点では、D40 やD60 よりも使いやすく、ニコンらしいまじめに作り込んだカメラであると言えよう。バッテリーをあまり食わないのもその一端だろう。
D3000 の試写にあたっては、同じエントリー機種で兄貴分のD5000 (平成21年5月発売) と比較撮影をしてみたのだが、こと “画” に関しては両者の間に極端な差は見られなかったといのが結論だ。しいて言えばD3000 の方が色の再現は多少鮮やかな傾向にあるようで、それはD3000 のユーザーの多くがお店プリントや複合機のダイレクトプリントで出力することをニコンが想定しているためと思われる。いっぽうD5000 はパソコン上での編集に対し余力を持った画作りをしているようだ。
このように、機種が違っても画像のクオリティはほぼ同じ傾向にあるので、デザインや機能などの好み、予算などからどちらを選んでも問題はない。D3000 は、D5000 のようなバリアングル液晶モニターやライブビュー機能、動画機能を搭載していない。エントリークラスでもライブビューや動画撮影機能が求められる昨今であるが、デジタル写真を簡単に楽しみたいという人、デジタルコンパクトカメラから乗り換えたい人にとって最適な 1台であることに間違いはない。また、D3000にも 「EXPEED」 が搭載されたことで、上位機種のサブカメラという使い方も可能だ。
(斉藤勝則)