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ペンタックスK20Dブログ 進化の玉手箱
さあ、「ダイナミックレンジ拡大」の意味を理解しよう
【 田中希美男 TANAKA Kimio 】
多摩芸術学園写真学科卒業後フリーランスとして活動。撮影分野は人からドキュメントまで分野を問わない。クルマ雑誌やカメラ雑誌などに作品、テストレポートなどを幅広く発表している。「PENTAX K20DオーナーズBOOK」では、口絵の作品の他、K20Dの機能解説、レンズレポートなどを担当。

※作品画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。
ダイナミックレンジってなに?
 ダイナミックレンジという言葉は、オーディオの世界の専門用語なんですよね。音域の再生できる範囲を表していた言葉が、デジタルカメラの時代になって階調描写の幅を表す写真用語として一般的に使われるようになりました。

 フィルムカメラの時代ではダイナミックレンジなんて言いませんでした。ラチチュードと言っていました。いまではそれとほとんど同じ意味で使われていますけど。

 つまり、明部(ハイライト部)から暗部(シャドー部)まで、「どれだけの範囲まで」を階調描写できるか、というのがラチチュードであり、ダイナミックレンジなのです。

 ダイナミックレンジが「狭い」と、明るいハイライト部や暗いシャドー部、すなわちハイエストライト部やディープシャドー部の描写再現ができなくなります。いわゆる白とび、黒つぶれの現象がおこってしまう。

 ダイナミックレンジが「広い」と、白とびして真っ白くなってしまうようなハイライト部や、真っ黒に黒つぶれしてしまうようなシャドー部でも描写が可能となり、そのディテールを表現することができるというわけです。

 じゃあ、ダイナミックレンジは広ければ広いほどいいのか、というと必ずしもそうではありません。ここが写真の難しさでもあります。ダイナミックレンジが“広すぎる”と、確かに階調描写は豊かなのですが、しかしその写真はコントラストのない、ネムい調子で、シャキッとしない印象を受けます。
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ダイナミックレンジ拡大を有効(ON)にして撮影をすることで、とくにコントラストの高い被写体でハイライト部の階調描写がぐんっと良くなります。中間調からハイライトにかけての「階調のつながり」が滑らかになり、自然な感じに表現できます。
■DA 55〜300mmF4-5.8 ED 絞り優先AE(絞りF8・1/500秒) WBオート ISO200 プラス0.3露出補正 画像仕上:雅(MIYABI) ファインシャープネス+1 ダイナミックレンジ拡大ON
ダイナミックレンジ拡大の機能はハイライト部の多い被写体だけでなく、こうしたシャドー部が画面の多くを占めながらも高コントラストな場面で効果があります。ポイントとなるハイライト部の白とびをぎりぎりまで抑え込んでくれる。そのおかげで、とてもナチュラルな印象の写真に仕上がります。
■DA★16〜50mmF2.8 ED AL [IF] SDM 絞り優先AE(絞りF5.6・1/8秒) WBオート ISO400 マイナス0.7露出補正 画像仕上:雅(MIYABI) ファインシャープネス±0 ダイナミックレンジ拡大ON

K20Dのダイナミックレンジ拡大をONにするってどういうこと?
 K20Dのダイナミックレンジ拡大モードはONとOFFの切り替えができます。標準設定はOFFですね。そのON/OFFの切り替えはISO感度設定画面で「Fnボタン」でおこないます。

 ダイナミックレンジ拡大をONにして撮影をすると、OFFのときよりもハイライト部側だけが約1EV分ダイナミックレンジが広がります。つまりハイライト部の描写が、「約1EV露出アンダー」で撮影したのとほぼ同じ調子になります。しかし、シャドー部は露出アンダーにはならない。ここがK20Dのダイナミックレンジ拡大モードの“ミソ”です。ところで、ここで言っているハイライト部というのは、ニュートラルグレーを基準として、そこよりも明るい部分のことです。

 たとえばハイコントラストな被写体の場合、明暗差があまりにも広いためにハイライト部またはシャドー部のディテール描写が犠牲になってしまいます。従来のデジタルカメラで撮影した画像はどうしてもそうなってしまう傾向がありました。

 ハイライト部のディテールを出そうとするとシャドー部が黒つぶれしてしまう。逆に、シャドー部の階調を描写しようとするとハイライト部が白とびしてしまう。ダイナミックレンジの幅に限界があったからです。

 ところが、K20Dに新しく搭載されたダイナミックレンジ拡大の機能を活用すれば、シャドー部の描写はそのままにして、さらにハイライト部だけの階調描写性を向上させることができるというわけです。今までなら白とび現象が避けられないようなシーンでも、ハイライト部のディテール描写が可能となった。結果的に広いダイナミックレンジの画像が得られるようになるんです。
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【ダイナミックレンジ拡大 OFF】
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《ハイライト警告表示》…赤く表示される警告部分が多い

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【ダイナミックレンジ拡大 ON】
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《ハイライト警告表示》…赤く表示される警告部分が少ない

同じシーンをダイナミックレンジ拡大のON/OFFで撮り比べたものです。見比べてほしいのは、ベランダの向こうに広がる空の様子です。OFFのほうは雲のディテールがほとんど描写されていません。
 ところがONの写真では微妙な雲のディテールがきちんと描写されています。K20Dのハイライト警告の表示機能(赤く表示された部分)を見比べれば一目瞭然でしょう。ちなみに、ON/OFFの2枚の写真の露出はまったく同じです。
■DA★16〜50mmF2.8 ED AL [IF] SDM 絞り優先AE(絞りF5.6・1/800秒) WBオート ISO200 プラス0.7露出補正 画像仕上:ナチュラル ファインシャープネス+1

ダイナミックレンジ拡大を使うときに注意することってどんなこと?
 ダイナミックレンジ拡大機能には、ハイライト部のダイナミックレンジを広げてくれるという大きなメリットはあるのですが、逆にデメリットが1つ2つあります。そのへんをよく理解した上でこの機能を使いこなすことが大切です。

 デメリットの1つはISO100で撮影ができないことです。ISO100に設定しておいても、ダイナミックレンジ拡大をONにすると、自動的にISO200になってしまいます。ISO200やISO400で撮影していれば、そのまま設定どおりの感度で撮影が続けられます。変化するのはISO100のときだけです。

 ですから、ISO200の感度だとノイズが目立つからイヤだ ―― ISO100もISO200もそれほど違いはないと思うんですけど ―― という人にはおすすめできません。

 もう1つのデメリットはシャドー部にノイズが目立ってくるときがあることです。高ISO感度とダイナミックレンジ拡大の組み合わせで、そうした傾向が出てきます。これもまた、ノイズに対して神経質な人は高ISO感度ではOFFにしておいたほうがイイかもしれませんね。とは言っても、ノイズうんぬんの話はあくまで比較、ISO100とISO200や機能をON/OFFした画像で比較した場合であって、絶対的にノイズがより目立ってくるということではありません。

 ダイナミックレンジ拡大のON/OFFで注意することとしては、RAWモードで撮っておいたからといって、撮影後のRAW現像処理でどうのこうのすることはできません。RAWであろうがJPEGであろうが、ダイナミックレンジ拡大の機能は、撮影時にあらかじめ設定をしておかないと効果を発揮させることはできません。

 ファインシャープネスは、PENTAX PHOTO Laboratory(PPL)で後処理することはできないけれど、カメラ内RAW現像の機能を使えば可能です。しかし、ダイナミックレンジ拡大はカメラ内RAW現像を使ってもできません。くどいようですが、撮影する前にON/OFFを決めておかなくてはなりません。
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◆「ISOオート」「ダイナミックレンジ拡大OFF」の状態のISO感度設定画面。ISOオートの範囲はISO100〜800。
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◆「ISOオート」「ダイナミックレンジ拡大ON」の状態のISO感度設定画面。ダイナミックレンジ拡大をONにすると、自動的にISOオート範囲も100〜800だったものが、200〜800になる。
K20Dのダイナミックレンジ拡大のON/OFF操作は ―― K20DとK200Dのユーザーならば“常識”ですよね ―― ISO感度設定画面でおこないます。Fnボタンをただ押すだけでON/OFFの切り替えができる。OFFのときISO100であっても、ONにするとISO200に切り替わってISO100が選べなくなります。

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ダイナミックレンジ拡大の機能を有効にするには、撮影する前に必ず「ON」に切り替えておかなくてはいけない。RAWファイル撮影でもJPEGファイル撮影でも同じことです。ここがダイナミックレンジ拡大の使いこなしの大事なポイントです。このシーンのようにシャドー部とハイライト部との明暗差が大きいときは、ぜひ、ダイナミックレンジ拡大をONにしてから撮影することをおすすめします。
■DA★50〜135mmF2.8 ED [IF] SDM 絞り優先AE(絞りF5.6・1/50秒) WBオート ISO200 プラス1.0露出補正 画像仕上:雅(MIYABI) ファインシャープネス−2 ダイナミックレンジ拡大ON




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