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ペンタックスK20Dブログ 進化の玉手箱
「ダイナミックレンジ拡大」を使いこなして、表現力アップ!
【 田中希美男 TANAKA Kimio 】
多摩芸術学園写真学科卒業後フリーランスとして活動。撮影分野は人からドキュメントまで分野を問わない。クルマ雑誌やカメラ雑誌などに作品、テストレポートなどを幅広く発表している。「PENTAX K20DオーナーズBOOK」では、口絵の作品の他、K20Dの機能解説、レンズレポートなどを担当。

※作品画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。
どんな撮影シーンのときにONにするといいの? 常時ONでもいいの?
 ぼくはどちらかといえば軟調傾向の写真が好きですから、「常時ON」にして使っています。でも、だからといってその方法を皆さんに積極的にすすめるのは、いささか躊躇します。人によっては、仕上がりの調子がフラットすぎてネムい画像だと感じることもあるからです。

 とくに曇り日などフラットなライティングのときなどは、ハイライト部のヌケが悪く、透明感のある写真になりにくい。やや沈んだ調子になることもありますから、メリハリの感じられない印象の写真に仕上がってしまうかもしれません。理想的には、シーンに応じて、こまめにON/OFFをして撮影するようにしてほしい。

 というわけで、ダイナミックレンジ拡大のONをおすすめしたいのは、天気の良い日の戸外風景といったようなハイコントラストの撮影のとき、あるいは、暗い背景で白い花を写すようなシーンのとき、あるいは太陽が画面内にあるような夕焼け風景のようなときなども有効でしょう。

 そうそう、1つ言い忘れていたことがあります。ダイナミックレンジ拡大機能は、白っぽいハイライト部のディテール描写ができるだけではありません。当然ながら色にも効果があります。強い陽射しを受けた赤っぽい花を撮影すると、ハイライト部が色飽和を起こして部分的にオレンジ色に「変色」してしまうことがあります。紅葉の撮影などでも同様のことがおこることがあります。
 しかし、ここでダイナミックレンジ拡大の機能を活用すれば、色飽和をぎりぎりまで防いでくれます。このことはちょっと覚えておくといいでしょう。
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ダイナミックレンジ拡大の機能をONにして撮影をすると、たとえばこうした海の夕景シーンで、太陽の周囲の明るい雲のディテールや夕日が反射して高輝度になった海面のディテールも、心なしかきめ細かく描写されているように感じる。というわけで、ぼくは「常時ON」にして使っています。
■DA★50〜135mmF2.8 ED [IF] SDM 絞り優先AE(絞りF8・1/500秒) WB太陽光 ISO200 画像仕上:風景 ファインシャープネス+2 コントラスト−2 ダイナミックレンジ拡大ON
K20Dはもともと色飽和をおこしにくい画像処理をしているようです。ですから、ダイナミックレンジ拡大をON/OFFで撮り比べても、期待するほどの違いは明確には出にくいでしょう。しかし、とはいえ、強い光を受けた赤い花の色の“つながり”は、なんとなくなだらかで良い感じに仕上がっています。少しですが、効果ありじゃないかとぼくは感じています。
■DA55〜300mmF4-5.8 ED 絞り優先AE(絞りF8・1/200秒) ISO200 WBオート 画像仕上:雅(MIYABI) ファインシャープネス+1 ダイナミックレンジ拡大ON

マイナス露出補正をするとハイライト部のダイナミックレンジが広がりますよね、露出補正とはどこが違うの?
 ダイナミックレンジ拡大と露出補正とは根本的に違います。でも、「まったく違うぞ」とも言いきれない。
 露出補正とダイナミックレンジ拡大機能とは、似た部分がなくもないからです。そのへんを詳しく、そして簡単に説明するのがちょっと難しいなあ…。

 標準露出値からマイナスの露出補正をするとハイライト部のディテールが出てきます。それはその通りです。でも同時に暗部のディテールは、より暗くなり、描写は悪くなります。黒つぶれしてしまう可能性もある。このことはわかりますね。マイナス露出補正では、画像全体の露出をアンダーにしているから、ハイライト部もシャドー部も同じように暗くなり、結果的にシャドー部のディテールがツブレてしまう。

 しかしダイナミックレンジ拡大の機能は、ハイライト部のディテールの描写を広げてシャドー部は変化させない。黒つぶれしない。つまり、画面内のハイライト部だけを“範囲限定”して、そこだけを“アンダー露出”にしているようなもの、と考えてもいいでしょう。ダイナミックレンジ拡大をONにすると、ISO100に設定しておいたのに勝手にISO200に切り替わってしまうというのは、内部的に“アンダー露出”で撮影するためだと想像しています。
 いや、じつは、ぼくもこのへんのメカニズムについては詳しく知らないのです。このダイナミックレンジ拡大の処理については内緒のことが多くて、ペンタックスもその内容については公表していないのです。ま、いずれにしても、単純な露出補正をしているのではありません。これだけははっきりしています。
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逆光を受けた真っ白な毛並みが白とびせずに微妙なディテールを描写しています。それでいて、きちんと透明感の感じられる描写になっている。ただ、ハイライト部のダイナミックレンジを広げるだけではなく、画像全体の階調のなだらかさを損なわないような処理がなされている必要があります。そのへんの処理がK20Dのダイナミックレンジ拡大機能はうまくやっていると思います。
■DA 55〜300mmF4-5.8 ED 絞り優先AE(絞りF8・1/320秒) WBオート ISO200 画像仕上:雅(MIYABI) ファインシャープネス+2 ダイナミックレンジ拡大ON

露出補正と組み合わせるといいの?
 うーん、これまた難しい質問だ。相当に突っ込んだ高度な質問ですね。
 つまり、こういうことが聞きたいんでしょ。ダイナミックレンジ拡大をONにするとハイライト部のディテールが約1EV分、広がる。ということは、1/2EV露出オーバーになるように露出補正をして撮影すると、シャドー部が1/2EV分、明るくなり、ディテールがツブレにくくなる。で、いっぽうではダイナミックレンジ拡大機能のおかげでハイライト部が1/2EV分、ディテールの描写ができるのではないか、と。

 理論的に言うと、露出補正とダイナミックレンジ拡大を組み合わせてハイライト部もシャドー部も同時に「マニュアル的調整」はできなくもないです。ただし、“期待したほど”の好結果は得られにくいかもしれませんね。なんだか、はっきりしない言い方ばかりをしていますが、じつは、ぼくは実際にやってみたのですが、はっきりした違いが見えてこなかったのです。
 もしこのへんのことに興味のある人は、ぜひ自分で試してみて下さい。

他社のカメラにはない機能なの?
 他社メーカーにもK20Dのダイナミックレンジ拡大機能と似たような、あるいはそっくりな機能を備えた機種もあります。
 キヤノンの「高輝度側・階調補正」と富士フイルムには「D-レンジ」があります。これはK20Dのダイナミックレンジ拡大と同じく、ハイライト部だけのダイナミックレンジを広げる機能です。
 オリンパスには「シャドーアジャストメントテクノロジー」、ソニーは「Dレンジオプティマイザー」があります。この2つは、K20Dのダイナミックレンジ拡大機能などとは反対に、シャドー部側だけを範囲限定してダイナミックレンジを広げるタイプです。
 そして、ニコンには「アクティブD-ライティング」があります。この機能は、ハイライト部もシャドー部も同時にダイナミックレンジを広げるものです。ペンタックスユーザーにとっては、ちょっとくやしい機能です。
 いずれにしても、ダイナミックレンジを広げる機能は、今後もっともっと進化していくに違いありません。
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K20Dのダイナミックレンジ拡大機能の“唯一”の不満点は、ダイナミックレンジを広げられるのがハイライト部だけに限定されていることです。これが、同じようにシャドー部にも広げることができると、結果的にもっと広いダイナミックレンジの写真に仕上げられるということです。将来に期待したいです。
■DA 18〜55mmF3.5-5.6 AL II 絞り優先AE(絞りF16・1/60秒) WBオート ISO200 マイナス0.3露出補正 画像仕上:雅(MIYABI) ファインシャープネス±0
晴天時の風景写真の撮影などでは、ぜひ、ダイナミックレンジ拡大の機能をONにすることをおすすめしたい。たとえば、こういったシーンで空の雲のディテールの描出具合が、ONとOFFとでは大きく違ってきます。むろんONのほうが、ずっと見た感じに近い仕上がりになります。はっきり言って、このシーンではONにすることのデメリットは“まったく”ない、と言い切ってもよいでしょう。
■DA 12〜24mmF4 ED AL[IF] 絞り優先AE(絞りF8・1/1250秒) WBオート ISO200 プラス0.7露出補正 画像仕上:ナチュラル ファインシャープネス+1




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