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ペンタックスK20Dブログ 進化の玉手箱
これで「高感度ノイズリダクション」使いの名手になれる
【 田中希美男 TANAKA Kimio 】
多摩芸術学園写真学科卒業後フリーランスとして活動。撮影分野は人からドキュメントまで分野を問わない。クルマ雑誌やカメラ雑誌などに作品、テストレポートなどを幅広く発表している。「PENTAX K20DオーナーズBOOK」では、口絵の作品の他、K20Dの機能解説、レンズレポートなどを担当。

※作品画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。
高感度ノイズリダクション(NR)には「オフ」「微弱」「弱」「強」の4つが選べるけど、どう違うの?
 高感度NRは、ISO感度を上げていくにしたがって発生してくるノイズを目立たなくする画像処理です。目立たなくするだけで、完璧に消してしまうものではありません。「オフ」は文字通りの意味でNR処理をしない、のですが、まったくNR処理をしていないのかといえば、たぶん相当に“上流側”でなんらかのNR処理はやっていると思います。このへんのことは内緒なのでペンタックスも教えてくれません。もちろん他のメーカーも、NRオフと言いながら内部的になにか処理または対策はしているはずです。

 ま、それはともかくとして「オフ」はNR処理をやらないモード。「微弱」、「弱」、「強」はNR処理の強さの度合い3段階、と考えていいでしょう。ノイズを“とにかく消したい”と思えば「強」を選ぶのがいい。
 ただし、です。ただしNR処理を強くし過ぎると、とんでもない悪影響が出てくることを覚悟しなければなりません。ですから逆に、その悪影響がもっとも強いのが「強」、悪影響を最小にとどめてNR処理をするのが「微弱」と思ってもらえばいいでしょう。

いったい、どんな悪影響があるの?
 同じ被写体を「オフ」と「強」で実際に撮ってみて、それを見比べてみれば歴然とした違いがわかるはずです。解像感というか画像の切れ味が違ってきます。NR処理を強くするほど“写真的”画像ではなくなります。

 NR処理を「オフ」にして撮影した画像に比べて、「強」の画像は細部のディテール描写がなくなりシャープさがなくなります。立体感も乏しくなります。ちょうど、指先でこすってノイズ部をツブしたような、そんな感じの画像になります。
 たしかにノイズは目立たなくなりますが、写真的画像とはほど遠いと思います。こうした高感度のNR処理は、なにもK20Dに限ったことではなく他のメーカーのカメラでも同じような傾向が見られます。
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【ISO3200で撮影した夜景のフル画像】
ISO3200で撮影。高感度ノイズリダクション「OFF」で処理したものの部分拡大と、高感度ノイズリダクション「ON」で処理したものの部分拡大を見比べてください。
 NRの「OFF」は、たしかにノイズが目立ちますが切れ味はあります。しかしNRを「ON」にすると画像はふにゃふにゃになり解像感はほとんどなくなっています。
 なお、この2カット比較写真はK20Dの高感度NR処理ではなく、見比べてわかりやすいようにPENTAX PHOTO Laboratory(PPL)の「ランダムノイズ除去」の機能を使って処理したものです。K20Dの高感度NR処理は、これほど強くNR処理をしませんが、傾向としては同じと考えてもらっていいでしょう。
 また、参考のために同じ場面をISO100で撮影して同じ部分を拡大してみました。ISO100とISO3200のノイズの違いを見比べてください。
■DA FISH-EYE 10〜17mmF3.5-4.5 ED [IF] 絞り優先AE(絞りF8) WBオート 画像仕上:ナチュラル
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【高感度ノイズリダクションOFF
ISO3200・部分拡大】
【高感度ノイズリダクションON
ISO3200・部分拡大】
【ISO100・部分拡大】

「微弱」「弱」「強」はどんなふうに使い分ければいいの?
 これから説明することは、ノイズリダクションをON/OFF処理をする上で大切なことです。K20Dの使用説明書にも書いてないこともあります。書いてあっても、つい見落としてしまうような説明、しかしとても大切なこと、知っておかなくてはならないことがいくつかあります。

 まず、使用説明書に書いていないこと。
[1] ISO100からISO800までの範囲では、NR処理の機能のON/OFFにかかわらずNR処理は働きません。
[2] NR処理の「オフ」「微弱」「弱」「強」の4段階が有効に働くのは、ISO1000からISO3200までです。
[3] ISO3200以上つまりISO4000からISO6400までは、NR処理の機能がON/OFFにかかわらず、すべて「強」の処理が自動的になされてしまいます。
 「微弱」「弱」はもちろん「オフ」も選ぶことができません。[3]については説明書の78ページに少し書いてありますが、わかりづらい解説になっています。

 そしてもう1つ、説明書に書いてないことの追加。
[4] 「微弱」「弱」「強」のうち、「微弱」は色ノイズだけを抑える処理をしますが、「弱」「強」は色ノイズと輝度ノイズの両方を抑えるNR処理をします。
 だから、正しく言うと「微弱」と、「弱」「強」とは、基本的なNR処理のやり方が違うわけです。

色ノイズとか輝度ノイズってどんなノイズなの?
 ひとくちにノイズと言ってもいろんな種類があります。ところで、これからぼくが説明するノイズの名称は正式なものではなく、俗にぼくたちが言っている仮名称ですので、あまりツッコミをしないでくださいね。
 さて、「色ノイズ」はカラーノイズとも言いますが、赤や青などの色とりどりの小さな点々、ツブツブのノイズです。画面のハーフトーン部でとくに目立ちやすいです。
「輝度ノイズ」はランダムノイズと言うこともありますが、画面のあちこちに散らばる黒い小さなツブツブのノイズです。画像を見たとき、輝度ノイズよりも色ノイズのほうが目立つようですね。

 ノイズリダクション処理は、一般的にですが、輝度ノイズを抑えようとすると画像の解像描写力が悪くなってきます。シャープさがなくなってしまう傾向があるのです。これに対して色ノイズを抑える処理は、輝度ノイズリダクション処理に比べると解像力描写にそれほどの影響を受けないですみます。
 そこでペンタックスとしてはK20Dで、やや目立ってしまいがちな色ノイズだけを抑え、解像描写性をできるだけ犠牲にしない処理として「微弱」モードを設けたわけです。もちろん「微弱」モードだけでは効果的にノイズを抑えて目立たなくすることは難しい。で、「弱」と「強」のモードも選べるようにしたのです。ただし「弱」や「強」でNR処理をすると、程度の差こそあれ画像の解像感、切れ味は悪くなってしまいます。

 この他にもノイズとして、長秒時露光でおもに出てくるノイズは「輝点ノイズ」とよばれるものがあります。夜空に星がきらめいているような高輝度なツブツブのノイズです。
 もう1つ、JPEGの圧縮率を高めたときに目立ってくるノイズに「ブロックノイズ」や「モスキートノイズ」というものもあります。ブロックノイズは空や壁など平坦部にタイル状のデコボコが見えるノイズです。モスキート(蚊)ノイズはエッジ部などでチワチワしたものが見られる現象で、まるで蚊の大群が群がっているように見えることから名付けられたようです。いずれも、画像をよほど拡大しないとわかりません。
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【ISO3200で撮影したレストランの屋外テーブルセット。部分拡大の元画像】
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【ノイズリダクション OFF
ISO3200・部分拡大】
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【ノイズリダクション ON
ISO3200・部分拡大】
ISO3200で撮影した画像のハーフトーン部に出ている色ノイズを見比べてもらおうと思います。
 その画像を色ノイズリダクション処理(PENTAX PHOTO Laboratoryの「偽色信号抑制」機能を使って色ノイズを処理)のON/OFFによる部分拡大を並べてみた。
 赤や青の小さなノイズが見られると思うが、これが色ノイズ。PPLを使って色ノイズの低減処理をすると、少しだが色ノイズが目立たなくなる。輝度ノイズ低減のように解像描写性にそれほど影響しないことがわかるだろう。
 なお、K20Dの「微弱」モードは、ごくごく弱めに処理をしているので、この作例写真ほどドラスティックに色ノイズは低減されない。
■DA 18〜55mmF3.5-5.6 AL II 絞り優先AE(絞りF8・1/640秒) WBオート ISO3200 画像仕上:雅(MIYABI)

ノイズリダクションは「常時ON」で撮影したほうがいいの?
 結論から言えば、皆さんには「常時ON」がおすすめ、かな。ただし、ぼくは、ぼく自身は「常時OFF」ですけど。言ってることが違うじゃないかと怒られそうですが……。
 理由は、やはり皆さんも、少しでもノイズが目立たないほうがいいんじゃないか、そのほうが好みじゃないかなあ、との親心からです。
 とはいえ、NR処理の「弱」や「強」はあまりおすすめしません。「微弱」を常時ONに設定して撮影するのがいいでしょう。いずれにしても、ISO100からISO800までで撮影するぶんには、ON/OFF関係なくNR処理は働かないんですから気にしなくてもいいんですが。

 ぼくがNR処理を「常時OFF」にして撮影するようにしている理由は、1つめはノイズがそれほど気にならないこと、2つめはとにかく解像感を大切にしていること、3つめは、ちょっとペンタックスにおべんちゃらを言うようですが、ペンタックスの高ISO感度の画像はNR処理をしなくても十分に満足できる画像だからです。あえて“よけいなこと”をしなくてもイイや、と、ぼくが思い込んでいるだけかもしれませんが。

 ここでもう1つNR処理の使い方のコツですが、「微弱」以外のNR処理、つまり「弱」や「強」を選ぶときは、シャープネスを少し、わずかですがプラス側にしておくといいでしょう。少しでも、見かけ上の解像感をアップできますから。
 逆に、NR処理を「オフ」にして撮影するときはシャープネスは少しマイナス側にする。ファインシャープネスは、ノイズがくっきりといっそう目立ってきますから被写体によっては避けたほうがいいですね。
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【部分拡大の元画像】
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【ファインシャープネス・マイナス4
ISO3200・部分拡大】
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【ファインシャープネス・プラス4
ISO3200・部分拡大】
ISO3200の高ISO感度で、高感度ノイズリダクションを「OFF」で撮影。シャープネスのパラメータだけを変更したら、ノイズがどれくらい目立ってくるのかをテストした写真です。赤枠の部分拡大で見比べていただきます。
 ファインシャープネスをいちばんマイナス側にした「マイナス4」と、ファインシャープネスをもっとも強くした「プラス4」を比べると、プラス4のほうがノイズにもシャープネスがかかっているのが分かるでしょう。
 ファインシャープネスは通常のシャープネスよりも、ノイズに対して「効果」が出ます。ですから、高ISO感度ではファインシャープネスをあまり強くし過ぎなようにしてください。
■DA 12〜24mmF4 ED AL [IF] 絞り優先AE(絞りF11・1/500秒) WBオート ISO3200

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ファインシャープネスを強くするとノイズがよけいに目立ってしまう、と言いましたが、それを“逆手”にとるという撮影方法もあります。フィルムの高感度粗粒子写真のようなものです。ISO3200の超高感度で、カスタムイメージはBW(モノトーン)の赤外調モード、ファインシャープネスはもっとも強いプラス4に設定して撮影したのがこの写真です。
■DA 18〜55mmF3.5-5.6 AL II 絞り優先AE(絞りF8・1/4000秒) WBオート ISO3200 画像仕上:BW(赤外調) ファインシャープネス+4




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