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ペンタックスK20Dブログ 進化の玉手箱
これだけ知れば「RAW」のスペシャリストになれる!
【 田中希美男 TANAKA Kimio 】
多摩芸術学園写真学科卒業後フリーランスとして活動。撮影分野は人からドキュメントまで分野を問わない。クルマ雑誌やカメラ雑誌などに作品、テストレポートなどを幅広く発表している。「PENTAX K20DオーナーズBOOK」では、口絵の作品の他、K20Dの機能解説、レンズレポートなどを担当。

※作品画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。
K20Dには2種類のRAWファイル形式があるけど、なにが違うの?
 K20DのRAWファイルは、「PEF」と「DNG」のふた通りのファイル形式が選べますね。PEFファイルはペンタックス独自の専用RAWファイル形式です。基本的にはK20Dに標準添付されたRAW現像処理ソフトの「PENTAX PHOTO Laboratory(PPL)」を使うか、あるいはPEFファイルに対応した画像処理ソフトを使って現像処理をすることになります。

 もし、PPLでしか現像処理をおこなわない、あるいはPPLのソフトのほうが使いやすい、というのであればPEFファイル形式を選ぶのがいいでしょう。
 いっぽうDNGファイルは、汎用タイプのRAWファイル形式です。このDNGファイル形式に対応したアプリケーションソフトなら、カメラが違っても同じ「土俵の上」で現像したり処理することができます。あるいは、Photoshop などの自分が使い慣れたソフトでRAW現像の処理をおこないたいという人も、DNGファイル形式がおすすめです。

 もう1つ違う点があります。PEFファイルとDNGファイルでは、同じRAWで、同じ被写体を撮影してもファイルサイズが違います。PEFファイル形式では「約13〜14MB」程度でも、DNGファイル形式で撮影すると「約24MB」にもなってしまいます。もしDNGファイルでRAW撮影をするのであれば、たっぷりと容量のあるメモリーカードを用意しておくことです。
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【1】オートホワイトバランスで撮影したオリジナル画像
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【2】現像時にホワイトバランスを「日陰」にし、「彩度プラス1」に調整した画像
K20Dで撮影したRAWファイルは、PEFファイルでもDNGファイルでもPENTAX PHOTO Laboratory(PPL)で現像処理することができます。K20Dの「PEF」RAWファイルに対応していない他のアプリケーションソフトで現像処理するのであれば、「DNG」 RAWファイルで撮影をしておく必要があります。
【1】はオートホワイトバランスで撮影したオリジナル画像です。そのRAWファイルをPPLを使ってRAW現像するときに、ホワイトバランスを「日陰」に、彩度をプラス1にして処理したのが【2】です。現像時の調整でグラスのビールの色を見たとおりの印象に仕上げることができました。
■DA 35mmF2.8 Macro Limited  絞り優先AE(絞りF5.6・1/50秒) ISO800 画像仕上:雅(MIYABI)

RAWファイルを選んで撮影することのメリットってどんなことなの?
 どんなホワイトバランスのモードを選んだら自分の期待通りの色調の写真に仕上がるのかわからない。または、あれこれホワイトバランスのモードを選んで試し撮りしている余裕のない場合などに、RAWでとりあえず撮影しておきます。
 撮影後に、気分的にも落ち着いたときに撮影済みのRAWファイルを現像する。このときに、ホワイトバランスの各種モードを自由に選んで調整しながら、自分のイメージにぴったりとした写真画像に仕上げることができます。

 このように、ホワイトバランスやカスタムイメージの各種モード、さらにはコントラストや彩度など画像仕上のパラメータの微調整もRAWファイルの現像段階で処理ができます。
 ノイズリダクションのOFF、微弱、弱、強を撮影後に選ぶこともできます。RAW現像処理してJPEGファイルに変換するときに、画像サイズやJPEG圧縮率を自由に選んで保存することもできます。
 つまり、撮影中に画像仕上についてのあれこれ難しいことを考えずに撮っておけばよい、ということが大きなメリットでしょう。

逆にRAWファイルで撮影することのデメリットってあるの?
 デメリットは、なくもないですが、それがはっきりと誰にとっても「デメリットだ」と言い切れるものかどうか少し疑問ですけど…。
 たとえば、RAWファイルは必ず「現像処理」をする必要がありますね。それがめんどうだと考える人がいる。いや、そのRAW現像が愉しいのだ、と言い切る人もいる、といった具合です。
 JPEGファイルに比べてワンカットあたりのファイルサイズが大きい、連続撮影できる枚数が少なくなる、といったところもデメリットと言えるかもしれません。でも、これらは、デメリットであるなんて感じないかもしれませんよね。

 大量に撮影したRAWファイルカットをすべて現像処理をおこなうのは、いくら高性能なパソコンを使ってもタイヘンな作業になってしまいます。時間的な余裕があって、RAWファイルの現像処理をやるのがなによりも愉しいという人以外は、RAWファイルだけの撮影というのはおすすめできません。
 というわけで、ぼくはJPEGファイルで撮影するのが基本スタイルです。しかし、必要と思えば積極的にRAWを選んで撮影もします。
 とくにK20Dには便利な「RAWボタン」がありますから、ここはRAWでおさえておこう、と思ったら迷わずRAWボタンをワンプッシュして撮影します。ただ押せばいいだけですから、とても便利です。そうしたRAW撮影の場合は、必ず「RAW+JPEG」の同時記録をするようにしています。

 撮影後に、まずJPEGファイルの画像の色調などをチェックします。「少し修正を加えて仕上げたい」と思ったときだけ、RAWの現像処理をおこないます。そうでなければ、RAWファイルはただ撮るだけ撮って、そのままハードディスクの“肥やし”となってしまいます。
 もちろん“無駄”にはなりますが、しかし「保険」のようなものだと考えています。でも、将来的に、もしも今よりももっと優れたRAW現像ソフトが開発されれば、ハードディスクの“肥やし”となっているRAWファイルが有効活用できるようになるかもしれません。
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【3】オリジナルのJPEG画像
(WBオート プラス0.3露出補正)
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【4】RAWで撮影
(WB曇天 トーンカーブ調整例-1)
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【5】RAWで撮影
(WB曇天 トーンカーブ調整例-2)
【3】はオートホワイトバランス、プラス0.3露出補正をして実際に撮影したオリジナルのJPEG画像です。同時にRAWで撮影して、そのRAWファイルの【4】と【5】を、PPLを使ってホワイトバランスを「曇天」に変更した後、どれが自分のイメージにあうか、トーンカーブを調整して2通りに仕上げてみました。RAWなら現像するときに、自由に試行錯誤して望み通りの仕上がりにできます。画質も劣化させずにすみます。
■DA 55〜300mmF4-5.8 ED 絞り優先AE(絞りF8・1/500秒) ISO200 画像仕上:雅(MIYABI) ダイナミックレンジ拡大

カメラ内RAWでしか現像ができない機能ってあるの、どんな機能なの?
 K20Dのカメラ内RAW現像の機能は大変に優れています。はっきり言ってここまできめ細かく、そして容易にカメラ内でRAW現像処理ができる機種は他にはほとんどありません。さらには、このK20Dに内蔵されたカメラ内RAW現像を利用しないと処理ができない撮影機能もあります。
 「ファインシャープネス」と「高感度ノイズリダクション」の2つの処理です。
 この2つの処理については、パソコンでPENTAX PHOTO Laboratory(PPL)を使ってもできません。いや、高感度ノイズリダクションは“似たような”処理はPPLでもできるのですが、微弱、弱、強といったノイズリダクション設定モードを選ぶことができないのです。通常のシャープネスの処理はPPLでもできますが、ファインシャープネスの処理はカメラ内RAW現像でしかできません。

では、カメラ内RAWの現像ではできなくて、PPLではできる機能ってあるの?
 高感度ノイズリダクションがカメラ内RAW現像とは違った方法で処理ができます。いわゆる輝度ノイズNRと色ノイズNRの2つを組み合わせて微妙にNR処理したり、あるいはカメラ内RAW現像のNR処理よりもずっと“強烈”にノイズリダクションすることもできます。

 このほかには、「レンズ収差補正」、「傾き補正」、そして「トリミング」などがPPLでできてカメラ内RAWでできないことです。レンズ収差補正は、周辺光量不足、歪曲収差補正、倍率色収差補正の3つがそれぞれ別々に、そしてきめ細かく補正ができます。撮影画像の傾きを修正したり、画像の一部分をトリミングしたのちに現像処理をするといったことがPPLでは簡単にできるんですよ。

 ところで、カメラ内RAW現像でもPCを使ったPPL現像でも後処理でどうしようもできない撮影機能が2つあることを知っておいてください。
「ダイナミックレンジ拡大」と「ISO感度」の2つです。この2つだけは、RAW撮影でもJPEG撮影でも、撮影する前にあらかじめきちんと設定をしておく必要があります。

 ダイナミックレンジ拡大は「ON/OFF」をあらかじめ決めてから撮影することが大前提です。たとえば、ダイナミックレンジ拡大をOFFにしてRAWで撮影。それをカメラ内RAW現像またはPPLで現像するときに、ONに設定しなおす処理をしてJPEGやTIFFファイルに変換することはできません。同じように、ダイナミックレンジ拡大ONで撮影したRAWファイルを現像するときに、OFFにして処理することもできないということです。
 ただし、ダイナミックレンジ拡大ONでRAW撮影したファイルをそっくりそのまま現像処理すれば、ダイナミックレンジ拡大ONで撮影したのと同じ効果のあるJPEGファイル(あるいはTIFFファイル)に仕上げることはできます。

 ISO感度は、撮影時にRAWでISO1600を選んだものを現像処理するときにISO100にするなんてことはできません。こんなことはK20Dユーザーなら皆さん、十分にわかっていることですよね。
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標準設定のまま撮影したRAW画像 ―― ナチュラルモード、露出補正なし、ISO3200、ノイズリダクション・弱 ―― を、調整パラメータの設定を変えてカメラ内RAW現像したもの。カスタムイメージを雅(MIYABI)にして、ファインシャープネスをプラス4、トーンカーブを使って少し調整して仕上げてみました。
■DA 16〜45mmF4 ED AL 絞り優先AE(絞りF11・1/125秒) ISO3200

メモリーカードいっぱいにRAWで撮ってからカメラ内で現像できるの?
 メモリーカードの空き容量がないと現像してもその画像を保存できません。
 カメラ内RAW現像は処理して仕上げたJPEGファイルをメモリーカードに書き込んで記録します。ですから、メモリーカードに処理済みのJPEGファイルを保存しておくスペースが必要となります。
 たくさんのカットを撮影してメモリーカードの容量いっぱいになったとき、それ以上に撮影を続けようとしても「カードの空き容量がありません」と警告がでますが、RAW現像処理をしても同じような警告がでるだけです。

パソコンのハードディスクにいったん保存したRAWファイルを、改めてカメラ内RAWで現像するってことはできるの?
 できます。
 ただし、所定の方法でRAWファイルをメモリーカードにコピーして、それをK20Dにセットしてやる必要があります。カードにRAWファイルをそのままコピーしただけではK20Dは画像ファイルとして認識してくれません。
 K20Dで撮影して得られた画像ファイルは、RAWファイル、JPEGファイルを問わず、指定されたフォルダに記録されます。

 まっさらなメモリーカードを使って最初のワンカットを撮影すると、メモリーカードのルートディレクトリに「DCIM」フォルダが自動的に作られます。さらにその1つ下の階層に、もう1つフォルダが作られます。このフォルダ名は「100PENTX」または「100_0702」のどちらかとなります。フォルダ名の詳細については使用説明書の230ページなどを読んでください。

 つまり、ハードディスクに保存しておいたRAWファイルをK20Dのカメラ内RAWで現像するには、メモリーカードの「DCIM」フォルダの下のフォルダ(指定されたフォルダ名)にコピーして、そのメモリーカードをK20Dにセット。その後にカメラ内RAW現像の処理をおこなえばよいというわけです。
 ところで、これはあえて言うまでもないことで実際にやってみればすぐにわかることですけれど、所定の方法でRAWファイルをメモリーカードにコピーしても、カメラ内RAW現像ができるのは、K20Dで撮影したRAWファイルだけです。それ以外の、たとえばK200DやK10DのRAWファイルは、認識して画像表示はされますがK20DでRAW現像することはできません。
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【A】メモリーカードのルートディレクトリ。「DCIM」フォルダがあります。
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【B】DCIMフォルダの中にある「100PENTX」フォルダ。
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【C】100PENTXフォルダの中にある画像。JPEGとRAWがある状態。
K20Dで撮影して、その画像を記録したメモリーカードをパソコンのエクスプローラで開いてみました。【A】は、メモリーカードのルートディレクトリで、そこに「DCIM」フォルダがあります。【B】はDCIMフォルダの中にある「100PENTX」フォルダです。この100PENTXフォルダの中に撮影した画像が一括して保存されます【C】。K20Dの再生モードで画像として認識して液晶画面に表示したり、RAW現像処理ができるのは、この100PENTXフォルダの中の画像のみです。

 というわけで「K20Dブログ」は、この回でとうとう最終となりました。
 K20Dについては、もっともっと詳細に説明したいことや、便利な撮影機能がたくさんあります。大変に“奥の深い”カメラでもあります。使い込んでいくうちに「おおっ、そんなこともできるのか」と驚き、嬉しくなることも多いかと思います。
 交換レンズも個性的なものがたくさんラインナップされています。ぜひ、K20Dとそれらの交換レンズと組み合わせて、写真を思う存分に楽しんで下さい。
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現像ソフトPENTAX PHOTO Laboratoryを使ってRAWファイルを現像処理。トーンカーブを使って少しコントラストを調整したり、彩度を上げたりして仕上げた。
■DA 16〜45mmF4 ED AL 絞り優先AE(絞りF4・1/15秒) WBオート ISO1600 マイナス0.3露出補正 画像仕上:雅(MIYABI)
RAWで撮影し、K20Dのカメラ内RAW現像の機能を使って仕上げたもの。撮影した画像が少し露出オーバーぎみだったので、現像処理をするときに「露出調整」をおこなって少しアンダーめに仕上げた。
■DA 55〜300mmF4-5.8 ED 絞り優先AE(絞りF5.6・1/125秒) WBオート ISOオート(ISO250) マイナス1.0露出補正 画像仕上:雅(MIYABI)



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