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キヤノン EOS 7D
  (6573 ヒット)
すぐに気づくホールディング性の高さと柔軟性
 EOS 7D を使ってすぐに、従来のEOSシリーズとは “ひと味” 違った素晴らしい点をいくつか発見した。目立たないところにもきめ細かな配慮がなされていることにも感心した。そのひとつは、ホールディング性だ。
 もし、EOS 50D や 40D 、あるいは EOS 5D や 5D Mark II のユーザーなら見比べてみるとよい。グリップまわりの形状が微妙に違うのがわかると思う。7D はグリップ部の縁に少し凸部があり、右手でグリップを握ったときにその凸部に指先がしっかりと引っかかり、安定感と安心感を感じさせてくれる。指先がほとんどズレないのだ。
 また背面の、親指で押さえつける部分もスペースが少し広くなって、親指のポジションの自由度が増した。これらのちょっとした違いで、手の大きさにかかわらずグリップが大変に握りやすくなって、撮影スタンバイ状態で右手だけでカメラをホールドしていても疲れにくい。軽くて小さなカメラでも、ホールディング性がよくなければ重さと大きさを感じたりするものだ。逆に、ホールディング性が良ければ、実際の大きさや重さをそれほど感じさせないことがある。
ミドルクラスでは群を抜いたファインダーの視認性
 ファインダーの視認性がとても良いことにも感心した。7D も含めて、最近のデジタル一眼にはライブビュー撮影ができる機種が多くなって、わざわざファインダーを覗かなくても撮影が可能にはなっている。しかし、カメラをしっかりと顔の前で構えてファインダーを覗きながら撮影するという基本スタイルは大切。このへんのことがキヤノンはよくわかっているからこそ、EOS 7D ではファインダーの視認性に徹底的にこだわったようだ。
 EOS 50D などのファインダーの見え具合と比べると飛躍的に良くなっている。視野率が約 100%になったこと、ファインダー倍率が等倍になったこと (キヤノンのAPS-Cサイズ EOSシリーズでは初) 、アイポイント長が22mmあること、そして明るくてクリアなファインダースクリーンで、かつピントの山がとてもつかみやすくなった。
 すべての一眼レフカメラは、視野率をかぎりなく100%に近づける努力 (完全 100%は理想) をすべきだが、そうした精密なファインダーは、設計はもちろん、とくに製造技術、そしてコスト面でも極めて難易度が高くなる。だからこそキヤノンの場合は、EOS-1D 系などの高価なカメラにだけ視野率約 100%ファインダーをおごってきた。
 ところが、EOS 7D で初めてミドルクラスの機種にも視野率約 100%ファインダーを採用したことに注目したい。「写真は引き算」 とも言われる。低視野率のカメラでは、ファインダーでどれだけしっかりと引き算のフレーミングをしても、できあがった写真の周囲に余計なものが写り込んでしまっていることが往々にしてある。高い視野率のファインダーであるほど、自信を持って 「引き算」 撮影ができる。
 ファインダー倍率が等倍になったことで、ファインダー画面もより大きく見える。AFのピントのチェックもしやすくなり、さらにMFでのピント合わせもスピーディかつ確実にできるようになった。接眼部の光学系も一新して、クリアで色ズレなく見えるように工夫していることも高く評価したい。
 EOS 7D のファインダーでもうひとつ注目しておきたいことは、これもEOSシリーズのカメラでは初めて液晶を内蔵させたファインダースクリーンを採用していることだ。これにより、AFの測距枠やグリッド (格子線) を表示させたり、素早く切り替え表示することができる。
高感度画質はAPS-Cで最高かもしれない
 EOS 7D はAPS-Cサイズ相当の約 1,800万画素CMOSを採用している。約 1,510万画素のEOS 50D と同じサイズのCMOSセンサーであるが、20%ほど画素数が多い。単純計算すれば、一つ一つの画素あたりの開口面積は50D に比べて小さくなり、集光効率も悪いはずだ。結果的に階調描写力も低下し、さらには高 ISO感度になるほどノイズが目立ってくる…のではないかと心配していたのだが、実際はその予想を覆し、7D は素晴らしい画質を見せてくれた。高画素化は画質低下を招く、と画素数アップに反対していた人たちは、その考えを改めざるを得ないだろう。
 EOS 7D の常用 ISO感度は ISO 100 〜 ISO6400 までと幅広く、さらに感度拡張機能をONにすることで ISO 12800相当の超高感度撮影もできる。ただ 「撮れる、写る」 だけではなく、十分に実用範囲にある。いささか大袈裟だと受け取られるかもしれないが、APS-Cサイズ相当の撮像センサーを採用する現行のデジタル一眼レフカメラのなかでは、EOS 7D の高感度画質はナンバーワンではないかとさえ思う。新開発のCMOSセンサーの素性が大変に良いこと、そしてDIGIC 4 を贅沢にも2つ使って高速できめ細かな画像処理を行っていることの効果が発揮されているからだろう。
 ISO100 の画質と ISO200 〜 ISO400 の画質を拡大して子細に見比べても、ほとんど見分けられないほどに高画質であることに感心する。だからEOS 7D を上手に使いこなすポイントのひとつは、いかに ISOオートの撮影機能を活用するかにかかっている。撮影シーンが暗くなると ISO3200 の高感度まで自動的にアップしてしまうことがあり、ファインダー内表示をよくよく注意していなければならないが、被写体がそれほど暗くない場合には低感度を保持し続けてくれ、よりブレの少ないシャープな画像が得られる。この ISOオートと手ブレ補正 (IS) レンズを組み合わせることで、到底不可能だと思われていたようなシーンでも気軽に手持ち撮影できるということを知っておいて欲しい。
使っていて楽しくなる、カスタマイズ自在の操作系
 EOS 7D では、操作ボタンの配置を従来の EOSシリーズから少し変更しただけではなく、新しい操作部を設けたり、カスタマイズ機能を盛り込んでいる。操作ボタンのカスタマイズとは、よく使う機能を自分がもっとも操作しやすいボタンに割り当てられるものだ。
 新しく設けられたボタンでぜひ活用したいのは、クイック設定画面をON/OFF表示するための 「Q」 ボタンと、JPEG撮影中にワンプッシュするだけでRAWの撮影ができるようになる 「ワンタッチRAW+JPEG」 ボタン、そして、そのワンタッチRAW+JPEG、AEロックやFEロック、ファインダー内水準器表示、AFフレーム切り替えなど頻繁に使用する機能をカスタマイズ割り当てができる 「M-Fn」 ボタンの 3つだ。
 なかでもいちばん活用して欲しいのが、「クイック設定画面」 だ。「Q」 ボタンによって使い勝手が飛躍的に向上した。クイック設定画面は自分が設定した主な撮影機能の状態を、3.0型の大きな液晶モニターに集約して一覧表示し、それを見ながらダイレクトに機能を選んだり、設定したりできる。メニュー画面に切り替えて、設定項目を探し出して…といった煩雑な操作をしなくてよい。一度この便利さにハマってしまうと、他の方法で操作をしようとは思わなくなってしまうほどだ。
 このようにEOS 7D では画質が向上しただけでなく、操作性など使い勝手全般にわたって大幅な改良が施されていて、使っていてじつに愉しい、なんだかとってもいい写真が撮れそうな気分にさせてくれる、そういった意味でEOSシリーズ中、ナンバーワンだと言っても過言ではない。
(田中希美男)
主なプロフィール
平成21年9月1日発表
平成21年10月2日発売
有効18.0メガピクセルCMOS
(APS-Cフォーマット)
ISO100〜6400
(拡張50 、12800)
セルフセンサークリーニング
コンパクトフラッシュ
(UDMA対応)
19点AF
63分割測光
3.0型液晶モニター
AFライブビュー(コントラストAF)
フルHD動画
HDMI 端子
フラッシュ内蔵
防塵・防滴
発表時ニュースを読む
キヤノン EOS 7D フロント
流れるように曲面が連続する “超流体デザイン” がひとめで 7Dと知らしめる。外装の仕上げは高品位で、新設計グリップのホールド性も抜群。
キヤノン EOS 7D トップ
24mm相当の広画角に対応するGNo.12 のポップアップ式ストロボをそなえたペンタ部には、視野率約100%の大きなプリズムが入っている。
キヤノン EOS 7D リア
親指のかかりに配慮した背面デザイン。ライブビュー撮影/動画撮影の切り替えスイッチをファインダー右脇に新設して使い勝手を向上。
 
キヤノン EOS 7D 操作ボタンカスタマイズ
C.Fn IV -1 の[操作ボタンカスタマイズ]で操作部材を選ぶ画面。よく使う機能を好きなボタンに割り当て可能。メイン/サブ電子ダイヤルとマルチコントローラーの機能の割り当てを変更することもできる。
キヤノン EOS 7D クイック設定画面
「クイック設定画面」。背面左上にある[Q]ボタンを押すと現れる。マルチコントローラーで機能を選択し、電子ダイヤルかサブ電子ダイヤルで設定を変更する。これが便利。

 

作例1 ● 1,800万画素
写真をクリックすると拡大画像<640×427>になります。
作例2 ● スポット1点AFで撮影
写真をクリックすると拡大画像<640×427>になります。
作例1 (C) 田中希美男 作例2 (C) 田中希美男
高画素のメリットは、すなわち高解像力と豊かな階調描写力である。高い解像力によりピントを合わせた部分の微細な描写再現が可能となり、豊かな階調描写はアウトフォーカス部のなだらかな階調描写を実現する。これにより、立体感、奥行き感のある写真が得られる。
■キヤノン EF70-200mm F4L IS USM 絞り優先AE (F9 −0.7EV補正) WB太陽光 ISOオート (250)
スポット1点AFは1点AFよりさらに測距範囲が狭い。このシーンのように手前に花があって、その向こうの花のしべに正確にピントを合わせて撮りたい、といったような遠近が隣り合わせた “遠近競合” の状況に適している。
■キヤノン EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM 絞り優先AE (F5.6 +0.3EV補正) WBオート ISOオート (100)
 
作例3 ● ISO12800 で撮影
写真をクリックすると拡大画像<640×427>になります。
作例4 ● 長秒時撮影
写真をクリックすると拡大画像<640×427>になります。
作例3 (C) 田中希美男 作例4 (C) 田中希美男
この写真は、正真正銘のISO12800 (Hモード) で撮影したものだ。暗い場所だったが、F8に絞ったままでも1/80秒のシャッタースピードで、両手を高く持ち上げてのライブビュー撮影ができた。高感度ノイズリダクション処理は[弱め]。子細に見ればノイズはあるが、これだけの超高ISO感度でありながら画質的にそれほどの破綻もなく仕上がるのには驚くほかない。
■キヤノン EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM 絞り優先AE (F8 −0.3EV補正) WBオート ISO12800 (拡張)
EOS 7D の長時間露出のノイズは極めて少ない。15秒や30秒ぐらいの露出時間では、あえて長秒時ノイズリダクションを[する]にして撮影する必要もないぐらいだ。この写真も[しない]に設定して、ISO100で30秒の露出時間をかけて撮影したものだが、ほとんどノイズらしいものは見られない。
■キヤノン EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM シャッター優先AE (30秒) WBオート ISO100
 
☆高輝度側・階調優先を試す
写真をクリックすると、それぞれ拡大画像<640×427>になります。
[しない]
[する]
作例5-1 (C) 田中希美男 作例5-2 (C) 田中希美男
まったく同じシーンを撮影。画面の上部、空の雲の階調描写がだいぶ違うのがわかるだろう。なお、[する]に設定すると自動的にオートライティングオプティマイザが[しない]に、ISO感度の設定範囲が ISO200〜6400 に狭められる。
■キヤノン EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM 絞り優先AE (F8) WBオート ISOオート (200)
 
☆高速連続撮影 (最高約8コマ/秒) を試す
作例6 (C) 田中希美男
19点自動選択AFモードで最高約8コマ/秒の高速連写撮影をした。ファインダー画像の消失時間が少ないために、一瞬だが被写体状況を確認しながらズーミングしてフレーミングを変えることもできた。
■キヤノン EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM シャッター優先AE (1/500秒) WBオート ISOオート (400)
 

※作例写真のサムネイル画像と拡大画像は、Web用に解像度と圧縮率を変更しています。
また、著作権者とモーターマガジン社の許可なくこの画像を二次利用することを禁じます。

主な仕様 ●有効画素数 : 1,800万画素 ●撮像素子 : 36×24mm、フルサイズCMOSセンサー、セルフクリーニングセンサー付 ●撮像感度 : 全自動・クリエイティブ全自動 (ISO100〜3200)、その他 (ISO100〜6400、1/3段ステップ、自動設定および拡張ISO12800可能) ●画像形式 : 静止画JPEG/14bit RAW、JPEG+RAW/sRAW+JPEGの同時記録可能、動画MOV (画像MPEG-4 AVC、音声リニアPCM) ●記録メディア : コンパクトフラッシュカード (Type I・II) ※UDMA対応/マイクロドライブ可 ●ファインダー : ペンタプリズム使用アイレベル式、視野率100%、ファインダー倍率1.0倍、アイポイント約22mm、視度調整付き ●フォーカス : 19点 (全点クロス・中央F2.8対応) 、ワンショットAF/AIサーボAF/AIフォーカスAF/手動 (MF) 、AF微調整機能あり ●測距エリアモード : 1点/スポット1点/領域拡大/ゾーン/19点自動選択 ●測光方式 : 63分割TTL開放測光、評価/部分/スポット/中央部重点平均 ●露出制御 : プログラムAE (全自動、クリエイティブ全自動、プログラ) /シャッター優先AE/絞り優先AE/マニュアル露出/バルブ ポートレート、風景、クローズアップ、スポーツ、夜景ポートレート、ストロボ発光禁止、プログラム) ●露出補正 : ±5EV (1/3段、1/2段ステップ) ●シャッター : 電子制御フォーカルプレーンシャッター、1/60秒〜1/8,000秒 (全自動モード) /30秒〜1/8,000秒 、バルブ、X=1/250秒 ●モニター : 3.0型(約92万ドット・VGA) クリアビュー液晶、マルチコート処理、明るさ自動・手動調整可 ●ライブビュー : 位相差AF/コントラストAF (顔優先) /動画記録 ●外部インターフェース : HDMI ミニ/VIDEO/USB2.0 Hi-Speed/リモコン/拡張システム端子 (ワイヤレストランスミッター用) ●内蔵ストロボ : ガイドナンバー12、焦点距離15mm相当対応、調光補正±3段 (1/3、1/2段ステップ) ●電源 : リチウムイオン充電池 (BP-511A、BP-514、BP-511、BP-512)×1 、ACアダプターによるAC駆動可 ●サイズ : W148.2×H110.7×73.5mm ●本体重さ : 約820g
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